<診療所の継続性に向けて>
前回の投稿で、プライマリケア認定医という資格を再取得するという内容についてご案内させて頂きましたが、これは将来のみんなの診療所を見据えてのことです。
原は現在43歳です。後10年したら53歳、20年したら63歳ですので、10年後は可能なら診療所の第一線は次の世代に譲りたい、20年後は完全に診療所を自分の手から離したいと考えています。それでも、気軽に受診できる。それでいて土日祝日も診る、早朝や夕方以降の時間も診る、受診してきた方は断らずに全員診る。救急も診るというこの『みんなの診療所』のコンセプトは20年後も変わることなくその存在意義があるものと信じています。
その診療所の継続性という点を考えた時、後輩の育成、世代交代、継承という点は避けては通れません。その未来を考えた時、診療所を私、スタッフ、そして地域の皆様、文字通り『みんな』で力を合わせて次の世代を担う医療従事者の育成を目指していかなければなりません。
特に医師は医学部に6年通い、2年の初期研修と3年の専門研修を受けて専門医を取得します。その後も経験を重ね医師としてある程度一人前と言えるようになるまで医師になり少なくとも10年程度はかかります。一朝一夕に育つわけではありません。もちろん、奄美で研修を重ね育った医師もおりますが、まだまだその数は少なく、すでにその他の地域で一人前になった医師達により奄美の医療は基本的に支えられています。
私は奄美で地域に根付いた診療所を目指すにあたり、地域で医師を育てる環境、習慣を島全体として醸成していきたいと思っています。
そのため、2023年からは県立大島病院や場合によっては都会で研修している2年目研修医の地域研修の受け入れを開始することとしました。また、奄美看護福祉専門学校の学生さんの実習も短期間ですが受け入れを開始致します。そして2025年には総合診療医、家庭医としての専門医研修を行う医師も研修を受け入れる予定でおります。
若手医師や看護学生は早く一人前になりたいと渇望し、1日1日必死で知識や技術を吸収しようとしています。その熱意は側で指導している私たちにはヒシヒシと伝わってきます。地域の方々と一緒にこの熱意ある若手たちを島の宝として育てていける環境を作っていきたいと思っています。
来年からは診療所で原以外の医師が診察を担当する場面もあると思いますが、これは10年後、20年後の奄美の医療、原がいなくなった後も原の想いが奄美に残るようにするために不可欠なことです。診療所の、そして、奄美の医療の発展のための大切なステップですので、地域の皆様にもこの変化を良い変化として受け入れて頂けましたら幸いです。
