みんなの診療所をご利用の皆様。こちらの定期報告では感染症を取り巻く状況についての報告をさせていただきたいと思います。
1)新型コロナウイルス感染症について
まずは新型コロナウイルス感染症については鹿児島県、全国ともに減少傾向で感覚的には奄美大島内も同様の傾向だと感じます。
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
また、最近報道でもこの春に感染症法上の位置付けを変更するという報道がされています。こちらはまだ内容が確定されていないので詳細はこちらではご紹介しませんが、どのような変化が起こるのか、診療所としても注意を払い、詳細が決まった際にはこのブログでもご紹介させていただきたいと思います。少なくとも言えることは、今までは法律で強い権限を持って感染症の動向を把握/コントロールできるようにたくさんの費用や資源を用いて管理してきたが、その判断の主体が皆さん一人一人の判断に委ねられるようになる。ということだと思います。
今までは、新型コロナに感染したらどうしたら良いですか?と、聞かれれば
感染した人は発症した日を0日として7日間の『自宅療養』が必要です。同居のご家族は濃厚接触者であり、家庭内で陽性者との感染対策を実施した日から5日間が濃厚接触者としての『自宅待機』が必要です。皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。
と、答えるのが型通りの答えでした。
しかし、その法的な根拠がなくなると、
以前はそのように求められていましたので、それを参考にして『各自で』判断して療養してください。
ということになるでしょう。
また、今までは、新型コロナウイルス感染症とそれ以外の医療の両立が難しい場面が全国では何度も繰り返されてきました。これも、特に入院が必要な重症度の新型コロナウイルス感染症を診療している医療機関が大抵、その他の医療についても中核的な役割を果たしている場合が多かったため、手術が延期になったり、救急搬送困難事例が発生したりということが全国で発生していました。今後はまだ実際にその時になってみないとわかりませんが、感染のコントロールに対する法的根拠がなくなることにより、より容易に感染拡大が起こるようになり、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方への感染が今よりさらに拡大しやすくなる可能性があります。もちろん、専用病床を持っていない医療機関でも受け入れが可能となるため今のような逼迫という状況は起こらないという予想をすることもできますが、私の感覚としては今新型コロナウイルス感染症の入院を受け入れている医療機関は『どうしたら受け入れることができるか』『どうしたら平時の医療との両立ができるか』を考えて実行する習慣のある医療機関だと思いますし、そのために診療報酬上のインセンティブがあります。これがすぐにゼロにならないにしろいずれなくなっていく方針だとすると、今まで受けれいていた医療機関が同様に頑張りづづけるかどうかも不透明で、今まで診療に携わっていなかった医療機関が新たに入院を受け入れるようになるかどうかも不透明だと感じます。幸い、奄美大島に関しては、入院病床を持っている医療機関のほとんどが新型コロナウイルス感染症の入院治療に何らかの形で携わっていると思いますので、それほど大きな変化は出ないかもしれませんが。
長くなりましたが、感染拡大のその動向やその時の方針が今より格段に各個人、各医療機関に委ねられるようになりそうです。そして、国としてもそれで良いと思っているようです。これにより一番困るのはおそらく、重症化リスクのある高齢者や基礎疾患のある方々です。そのことだけは頭の片隅に入れながら、今後の国の決定を見守りたいと思います。
その時が来たら診療所としても、今の発熱外来のあり方を変更しなければならないと思っています。それについても今後、このブログでお伝えしていきます。
2)インフルエンザウイルス感染症について
以下に、鹿児島県、および厚生労働省の1月第2週のインフルエンザウイルス感染症の流行状況についてお示しします。
これによると徐々に全国的に増えてきているものの、その中でも鹿児島県は流行の程度が強く、その中でもとりわけ名瀬保健所管内での流行が著名であることがわかります。ただし、気になるのは全国的な流行がもう少し遅れてくるとすると、奄美でも一度落ち着いてきたと思われたタイミングで再び流行が拡大するというようなことがことが起こるのではないかとも心配しています。いずれにしてもやはり2月に入ってもインフルエンザウイルス感染症の動向についてもまだまだ注意が必要な状況が続くのではないかと考えております。こちらについても引き続きブログでご紹介していきたいと思います。
https://www.pref.kagoshima.jp/ae06/kenko-fukushi/kenko-iryo/kansen/info/infuru.html