前回のブログで、みんなの診療所のこれからのあり方について、原個人のあり方、診療所のあり方について皆様にお伝えしました。
ここでは、みんなの診療所が今後も安定して診療を継続していくために必要なこととして、地域全体で取り組みたいと思っているもう一つのテーマについてお話しします。
それは
【休日や連休、年末年始などにおける診療体制について】です。
現在、奄美大島では瀬戸内町を除き、休日診療について地域として住民の皆様にお知らせできる仕組みはありません。また、原が県立大島病院に在籍していた時は感染症の流行期には1日100名近い患者さんが救急外来に受診されることもあり、救急搬送されてくる患者さんやドクターヘリ搬送されてくる患者さんと、歩いて来院される多くの患者さんを同時に診療し続けることは、危険と感じる場面もありました。
しかし、実際に多くの医師やそのほかの職員を擁し、設備も兼ね備えた県立大島病院にいながらにしてそれを訴えても、地域に響くことはないだろうと感じていました。
果たして、民間の小さな医療機関でも、土日祝日や年末年始の診療を行えば、診療ニーズがあるのか?地域の中核病院はそこでしか対応できない疾患の診療に注力できる体制を構築できるのか?これから人口も減少し、中核病院の医師も今後減少していく未来も予見される中、どうしたらそれぞれの医療機関の担う役割を効率的に分担して持続可能な医療の状況を作っていくことができるのか。みんなの診療所が生まれる原動力になった、大きな理由の一つとして、地域としての休日、連休などの診療ニーズを測り必要があれば地域全体で支える仕組みを作りたいという想いがありました。
今回は診療所における土日、祝日、大型連休、年末年始などの診療日についてのみを集計したデータがありますので、それを皆様にお示しし、私のこれから進んでいきたい方向性についてもお伝えできればと思います。
1)診療所の土日、祝日、年末年始、連休中の受診者数とその内訳について
2023年12月29日から2024年7月7日までの間の、年末年始、土日、祝日でみんなの診療所が診療を行った日、全61日間を集計しました。
受診者数は約4000人、1診療日平均65人でした。
これは保険証を使用した診察のみを集計対象としており、健康診断や予防接種などにいらした方は含んでおりません。
また、そのうち、発熱外来対応が約1500人、1診療日あたり平均24名でした。
受診年齢を見ると、約半数は小児の受診者であり、86%は65歳未満と、比較的若い方が多いことが特徴です。

2)感染症流行期の土日、祝日診療について
2023年は11月頃からインフルエンザが大流行し、土日祝日でも1日50名近い発熱対応をすることも少なくありませんでした。それらに、通常の受診、予防接種や健康診断なども含めて、昨年度は土日祝日で1日最大124名の方の受診に対応した日がありました。
2022年のコロナ大流行の時に、発熱外来が6時間待ちとなった時から、その年末の風邪シーズン、2023年の夏、冬2度のインフルエンザ流行の時期と感染症流行の時期はそれに比例して診療所の土日祝日診療を利用される方の人数も増える傾向にあります。
例えば前回の年末年始診療においては
2023年12月29日から2024年1月3日までの間の6日間で、保険証を利用して診療した患者さんのみで合計408人、1日平均68名の方の受診がありました。また、新型コロナウイルス感染症が増え始めていた今年のゴールデンウィークについても以下にお示しします。

困っている人がいれば少しでも対応したい。特に、休日や大型連休など他の医療機関が閉まっているときの安心材料になれたらとの思いで開院以降、土日祝日や年末年始の診療をスタッフ一丸となって取り組んできました。その甲斐もあって多く方に頼りにしていただき、決して設備が整っているわけではない小さな診療所をご利用していただけることに感謝の気持ちでいっぱいです。そしてやはりそのニーズがあったのだということにを実感しています。しかし、その反面、診療所を支えてくれているスタッフには負担をかけていると感じる時もあります。また、今年の学校健診シーズンなどは休診日を利用してそのような業務に対応したこともあり、原の連続勤務が続きました。
診療所の継続性という点で考えた時、原やスタッフがより良い状態で診療に臨むためには少し診療日数を制限する必要があると考えるようになりました。これについてはどのように対応するかはまだ日々思い悩んでおります。方向性が確定したらまたブログやSNSでも皆様にお伝えしたいと考えております。
3)できれば地域全体で支えたい休日や連休の診療体制
もちろん、今も、入院施設を備えた医療機関には常に当直医がおり、土日祝日や年末年始でも急患対応については行なってくださっています。ですが、多くの地域ではご自身で受診することができるいわゆる一次救急診療の対象となる方の医療体制の確保として、休日当番医制や輪番制、休日夜間診療所などの仕組みが地元医師会や市町村により構築され、市町村のwebsiteや広報、医師会のwebsiteなどで地域の方に周知されている場合が多いです。土日、祝日や年末年始、大型連休の時に、突然の体調不良などになって医療機関の受診を考えた時、まず相談するべきところ、受診しても大丈夫な医療機関が公的な仕組みにより明示されていたら、地域の暮らす方々の安心につながるのではないかと考えます。先のデータを関係機関にもお見せし、地域としての休日や連休の診療体制構築についての必要性についてはご相談をさせて頂いていますが、なかなか実現には至らない状況が続いています。もちろん、私の思いや考えの方向性が地域の実情とかけ離れている可能性も十分ありますが、少なくとも自分が日々の診療の中で感じたこと、考えていることはこれからも言葉や文字にして伝え続けていきたいと考えています。
これからも、少しでも地域の皆様のお役に立てるようにとの考えには変わりなく、どのようにすればそれがより継続性のあるもの、持続していけるものとなるのかも同時に考えていきたいと思います。皆様の引き続きの応援、サポートどうぞよろしくお願い申し上げます。