<はじめに>
診療所をご利用の皆様、本日は臨時休診をいただきました。
2年前の今日、7月1日、大雨の中みんなの診療所はその産声を上げました。
初日の受診者は9名。
この先、本当に地域の皆様に利用していただけるのか?とても不安な中のスタートだったことを今も鮮明に覚えています。
皆様の温かいサポートもあり、その不安は今は拭い去ることができました。診療所開所後最も多い日には1日120人の方にご利用いただきました。診察券番号もついに9000番に突入し、龍郷町内のみならず、奄美大島全域からご来院いただいているのを肌で実感しています。みんなの診療所がこうして2年を乗り越えてくることができたのもの、何より地域の皆様が足を運んでくださるからです。診療所を利用して下さること、そのこと自体が私たちを支えて下さることそのものであり、私たちの診療に対するモチベーションをさらに向上させてくれるエネルギーでもあります。今後も地域の皆様にとって利用しやすい、足を運びやすい医療機関を目指していきたいと思います。
普段1日のお休みだと、ついつい子供たちと遊んでしまうので、この臨時休診は、人間ドックを受けたり、バランスの崩れた体のメンテナンスをしたりしています。そして、明日から3年目のシーズンに突入します。この機会に、これまでの2年を振り返り、いや、私が再び奄美に戻ってきてからのこの10年間を振り返り、私が10年前に目標としていたことがどれくらい実現しているか、そしてこの先の10年をどのように過ごしていきたいか、この場で少し綴ってみようと思います。
<この2年を振り返る>
ことあるごとに感じていますが、この2年を過ごしてくることが出来た事はなんといっても、支えてくれる家族の協力と理解、そして同じ方向を向いて共に歩んでくれるスタッフのみんながいてくれるからです。0歳から100歳まで診る。朝から夜まで診る。土日も祝日も診る。利用者としては便利と感じるかもしれませんが、一緒に働く仲間にとって、そのコンセプトに共感して私についてきてくれることは容易な事ではないと私は感じています。そんな中、いつも笑顔で、ご来院頂く方にも丁寧に、そしてチームワークよく診療所を盛り上げてくれるスタッフ一人一人を私はとても誇りに思っています。

医療機関の使命はもちろん診療の質を担保することは当然ですが、診察室の中だけを整えれば良いとは私は考えていません。例えば、ふと家で体調の変化を感じた時、それについて行動を起す選択肢としては、スマホで調べる、友達に相談する、本を読むなど様々だと思います。その選択肢の中にどれだけ早く、『医療機関に相談する』という選択肢が浮かぶようにするか。まで考えることが私たちの使命だと思っています。少なくとも地域に密着した診療所として、どれだけ地域の方達のそばに存在することができるかということを考えたときにその視点は欠かせません。
そのため、web siteにはお問い合わせフォームがありますし、SNSなどを通して双方向性のやりとりができるようにしています。そして、電話での対応も出来るだけ丁寧に行うようにしています。そして、一度受診した時の診療体験が次の受診や相談のハードルを下げると考えているため、いかに快適に来院から帰宅までを終えていただくかという、診療体験全般に対して工夫をこらしているつもりです。その中で、私以外の看護師、事務、クラークの存在は欠かせません。みんなの診療所の大きな屋根を私だけでなく、スタッフ一人一人が大切な柱となって支えてくれている、そんなイメージで私は診療所を捉えています。

この2年を振り返ると、決して順風満帆とはいかず、常に試行錯誤の繰り返しで、この仲間たちの誰か一人が欠けてもこの日を無事に迎えることはできなかったと思っています。それほどに信頼できる仲間達ととに仕事ができることに日々幸せを感じつつ、現状に満足することなく、さらに高みを目指して、自分の目指す奄美の医療の形を追求していきたいと思います。
<3年目の目標>
今も、発熱対応、通常診療、救急対応、健診、予防接種と全てのバランスをとりながら行っていかなければならない中で、ご利用の皆様にご不便をおかけしている場面もあります。細かいことをあげればキリがありませんが、小さな改善すべき点はまだまだ山のようにあります。今、まだ出来ていないことも、決して今のままで良いとは考えていませんので、優先順位をつけて、一つ一つ解決し、前へ進んでいきたいと思います。
ここで3年目シーズンの目標です。
*新型コロナウイルス感染が少し落ち着いてきたら、もっともっと医療と日常を近づける活動を行っていきたい。これこそがみんなの診療所の存在意義そのものだと思っています。
*ですが、やがてくる冬場の感染症シーズンに向けて、再び新型コロナやインフルエンザなどへの対応を迫られたとき、現在抱えている待ち時間という課題や、トイレのお貸出制限など皆さんにご不便をかけていることに対する取り組み強化
*2年間、原はほぼ休日返上で働き続けてきたので、そろそろ持続可能な働き方を目指して、代診をお願いできる環境を作りたい!!
*そして、その先の医師増員を目指して、まずはその基礎となる医師以外の増員を目指したい。現在医療事務については絶賛募集中です。奄美の医療の未来を一緒に作ってくれる熱い想いを共有できる皆様お待ちしています。
後編では、10年前に原が描いていた奄美の医療の未来、そしてここから10年後に描いている未来についてお話しさせてください。