みんなの診療所を応援してくださる皆様いつも本当にありがとうございます。2021年11月19日、みんなの診療所が開所して507日目にして、診察券番号が6000番に達しました。龍郷町の人口とほぼ同じ人数です。受診にお越しいただく方は奄美市の方も多く、遠方では加計呂麻島の方もおられます。また、旅行者の方もおられますので、もちろん全員が龍郷町の方ではありませんが、一つの目標としていた数字ですので感慨深いものがあります。
みんなの診療所は
高度な医療機器があるわけでもなく
高い専門性があるわけでもなく
名瀬市街地にあるわけでもない
いわゆる町医者です。
その町医者に、それだけ多くの方に足を運んでいただけているという事実を、私自身が重く受け止めなければならないと感じるのにこの6000という数字は十分すぎる数字です。

私が みんなの診療所で目指していることの最大のポイントは
医療をもっと身近に感じてもらうこと
医療を少しでも快適に受けていただくこと
の2点です
そして、
出来るだけ安く
出来るだけ早く
出来るだけ質の良い
医療を提供することも同時に心がけています。
そのために
どうしたら待ち時間が短くなり
かつ診療の質を落とすことなく
受診した方が支払う金額を低く抑えることができるか
を模索しています。
その結果として
*診療時間が長い→受診者のライフスタイルに合わせて受診の時間を分散させることにより待ち時間を短くすることと、一人当たりの診察時間を長く確保することを両立する
*高額医療機器を置かない→どうしても必要な検査は紹介して高次医療機関に行っていただく→検査の適応をよく考えるようになり、同時に無駄な検査を省き、トータルの医療費を低く抑えることができる。
*結果により方針の変わらない検査は極力しない
*院内処方を採用→院外処方の場合と比べトータルで患者さんが支払う金額は低く抑えることができる。
*処方する薬剤は最小限にとどめ、常に中止、減量できる薬剤がないかを検討する。
というみんなの診療所の診療スタイルになりました。
また、快適さを追求するという意味でも
診療時間の長さ、土日祝日診療、昼休みなしなどは利用していただく方の快適性を高める一因だと思います。
また、診療所らしくない建築も快適さを追求した表れでもあります。
立地も国道沿い、名瀬市街地からも空港からもアクセスが良い、駐車場が広いという条件を満たし、少しでも行く気になれる場所(不便な場所、分かりにくい場所、駐車場が狭いなどはいく気を無くさせる大きな要因だと感じます)を探すのに何年もかかりました。
また、出来るだけ、人と人との触れ合いを大切にすることで医療のハードルは下がるし、快適さは上がると考えていたため、受付をなくし、事務職員、看護師、医師の全員が待合スペースに足を運ぶことが通常の動線となるように建築と診療スタイルを構築しました。
少しでも問診、診察に時間をかけることができるように診察室にはドクタークラークがおり、私は目の前の患者さんに集中できる仕組みとしました。

こういう一見普通に診療を受けているだけでは、なぜそうしているのかが分かりにくい、一つ一つの小さなことの積み重ねで『みんなの診療所』は『みんなの診療所らしさ』を生み出しています。
ですが、そんな細かいウンチクは抜きにして、直感的にポジティブな印象をみんなの診療所に持って頂けていることの表れがこの6000という数字には込められていると感じています。
そして、本当にニーズがあるのかやってみなければわからない、このちょっと変わった町医者にもそれなりにニーズがあり、私が県病院を辞めてまで挑戦したかったことの方向性が間違っていなかったのだと感じることができる数字でもあります。
それと同時に、この数字は地域の方の期待を表すものでもあると感じています。その期待を裏切ることのないように、昨日より今日、今日より明日、成長できる診療所でありたいといつも思っています。
ここも通過点の一つです。現状に満足することなく、地域に眠るまだ見つけきれていない医療ニーズにアンテナを張り巡らし、もっともっと医療が日常生活に溶け込むその姿を目指して診療を続けていきたいと思います。
今後とも地域の皆様と共に成長できる診療所でありたいと考えています。皆様の温かいサポート引き続きよろしくお願い申し上げます。