久々のブログ更新です。今回は今開催中の奄美市議会についてです。
今回の奄美市議会一般質問では多くの医療についての質問が出ました。
*医療機関の閉院について
*産科の休診について
*血液備蓄所について
*奄美市総合計画内の医療の確保に関する記載と新たな県の保健医療計画との役割分担について
など多くの質問がされました。
奄美市側の答弁の内容はさておき、少なくとも市議会でも関心があり、多くの質問が出ることはとても良いことだと思います。
質問してくださった議員の皆様ありがとうございます。
聞き逃した皆様には私なりの要約をご紹介するとともに、感想を述べたいと思います。
<医療機関の閉院について>
*直近3年間で閉院7、開業3で、結果としてマイナス4
*奄美市としてどのような対策を行なっているか。例えば志布志市や大崎町は開業支援として最大1億円の支援を行うとしている。
→ 奄美市として関係各機関と協力しながら取り組んでいく、県の保健医療計画や医師確保計画に従って必要な対策を講じていく
<産科の休診について>
*県立大島病院のみで対応できるのか?
*今後の出生数などに影響すると思われるか?
→県立大島病院websiteの記載を紹介し、受け入れ体制を構築するとあり対応可能と答弁。名瀬徳洲会病院についても、休診であり閉鎖ではない。産科、小児科、麻酔科などの体制構築に努力するとのことであり動向に注視していきたい。
<血液備蓄所について>
今までも、日赤、県や他市町村、医療機関とともに備蓄所再開について協議してきた。日赤の責務だと考えている。これからも再設置に協議を重ねていきたい。
<保健医療計画などを踏まえた奄美市の取り組みについて>
*地域医療構想調整会議、奄美保健医療圏地域医療構想調整会議なででの議論を踏まえて、継続して検討していく。
*就学金の補助、住宅の確保などの要望が出た。引き続き取り組んでいく。
*医師確保計画に基づき関係機関と一体となって医師確保配置に取り組むことが示されている。
といった内容です。
一言で言うと
『県や関係機関、他の市町村とともにこれからも協議、要望していくが、奄美市として独自に取り組んでいることはないし、予算や人を割いている実績はない』
と言うことです。
これ以下は私の感想です。
きっと今の奄美市の体制のままではこの先も同様の答弁を繰り返すのみで、奄美市が医療について何か成果を出すことは難しいのではないかと感じます。
ですが、それはやむを得ないことです。
奄美市には医療専門職(医療のことを意思決定することができるノウハウのある人)がおりませんので、何か課題があっても自ら進んで課題抽出/解決にあたることはできないからです。
それを解消するために、奄美市総合計画を策定する作成委員を申し出て令和5年度は、奄美市に医療行政を担当する部署、役職を設置する。もしくは奄美市を中心として医療を議論する実務者の場を設定することを訴えてきましたが、実際に総合計画にその旨が記載されることはありませんでした。
https://www.city.amami.lg.jp/kikaku/documents/siryouhen2.pdf
ちなみに、奄美保健医療圏地域医療構想調整会議も奄美保健医療圏地域医療構想調整会議も大島支庁内に設置された会議体であり、即ち県の事業としての会議であり、奄美市や周辺市町村を中心とした会議体ではありません。
また、鹿児島県保健医療計画を示します。
https://www.pref.kagoshima.jp/ae01/kenko-fukushi/kenko-iryo/iryokeikaku/hokenniryoukeikaku8.html
その冒頭、本計画の位置付けと言うところを見ると以下のように記載されています。
『市町村に対しては、保健医療行政の計画的な運営を図るための指針となり、保険医療関係機関、団体に対しては、本計画の示す方向や対策についての理解と協力を得るとともに、その活動の指針となることを期待するものです』
県の保健医療計画を見ていただければわかるのですが、これはあくまで県の計画であって、県の力が及ぶ範囲の計画です。上記の文言はそこから漏れる部分を市町村や民間医療機関で補うための指針として欲しいという意味であって、県の保健医療計画を実現するためのサポートを市町村が行えば良いと言う意味ではないはずです。県には県の、市には市のやるべきことがあるはずです。もちろん、それは奄美に存在する民間医療機関とも異なった役割があるはずです。そこには一切言及されていませんでした。残念です。
また、県の医師確保計画を示します。
https://www.pref.kagoshima.jp/ae03/kenko-fukushi/kenko-iryo/gaiyo/2023ikenbosyukekka.html
こちらを見ると、今後の奄美医療圏の医師数の目標は現状維持です。医師偏在は全国の下1/3に位置していますが、増員はしないと言うのが県の医師確保計画です。それに準じて市町村が動くとしたら、医師の増員は行わないと言う方針だと暗に言っていることになります。
本当にそれで良いのでしょうか?
まずは奄美市が自分たちの手の届く範囲の医療をどのように描いていきたいと思っているのか?それを議会にも市民にも、胸を張って『自分たちの言葉で』語ることができる市政になることを祈るばかりです。
そして、この文章が一人の奄美市民の声として、質問してくれた議員の皆様にも届きますように。