みんなの診療所をご利用の皆様、今日は新型コロナウイルス抗原定性検査を開始してから最も厳しい1日となりました。
原が診療開始の1時間前、職員の出勤時間の30分前に診療所に行くと、すでに駐車場には車が停まっていました。これから9時に向けて診療開始の準備をするにあたり支障があるため一度診療所を離れて9時を目指して再来していただくようにご案内させていただきました。その後も8時30分の職員出勤までに合計10台ほどの車に同じご案内をしました。

当院は9時診療開始です。9時より早い時間にご来院される方がおられれば、時間を守り9時にご来院された方は9時には診察を受けられない事になります。もちろん、8時30分に出勤した職員が診察の準備を開始し診察ができる状態になればこれまでも診察を開始していました。ですが、診察開始1時間以上も前からご来院される方が今後も続くようであれば、9時までは敷地に入れないような対策を講じなければならなくなります。もしくはコロナ禍が落ち着くまで感染対応を中止することも検討しなければなりません。9時診察開始は9時診察開始です。どんなに早く診察を受けたいと思っても、きちんと時間通り受診した方が不利益を被るような形での受診をされることは『みんなの診療所』の思い描く姿に反するものです。有限な資源をみんなで仲良く、ルールを守って利用して頂けなければ、私たちも何か対策を講じなければなりません。私たちが今まで通りご来院したかを出来るだけお断りせずに診察する。困ったことがあれば予約などなしでいつ受診しても診察が受けられる。という診療所の理念を変え、ルールを守って受診できない方の受診はお断りするということを考えなければなりません。つまり、感染対応を中止するという決断をしなければならないかもしれません。

診療所で1日で見ることができる方の人数には限界があります。今までは土日でも80人くらいの診察も可能な時期もありましたが、最近は抗原検査件数も増え、検査陽性で届出が必要な方も増えたため、1名に時間がかかります。そのため最近は1日60名前後が診察の限界だと感じています。これは感染対応のみではなくその他の症状の方、定期受診の方、予防接種や健康診断の方も含みます。ここ最近の週末は診療する6〜8割くらいは感染対応の方となっており、待ち時間もとても長くなっています。そのため、定期受診やその他の診察を受けに来られた方は診察を諦めお帰りになる方もおられます。
コロナが流行っているから仕方ない。という考え方もあるのかもしれません。
しかし、私は、お帰りになる方がいるたびに心を痛めています。感染対応も受付終了でお断りしなければならないたびに申し訳ない気持ちでいっぱいです。
例えばコロナ診療に関して言えば、自宅で検査をして陽性が出れば、検査対応していない医療機関でも届出は可能です。検査を自宅で行い、届出を出す医療機関が増えるだけでもおそらくみんなの診療所の感染対応のニーズは減少すると思います。もっと言えば、若く重症化のリスクが高くない方たちは発熱や風邪症状があれば10日間休むということが可能なら、検査自体も必要ないかもしれません。実際、ここ最近は抗原検査の陽性率は70%くらいになっていますので、検査の特性上間違って陰性に出ている方が相当数いることを考えると実際は風邪症状のある方の8割くらいは新型コロナウイルス感染症という事になります。そうであれば検査なしで、風邪症状の人はみんな10日間休むという事にしてしまえば医療への負荷はだいぶ減らすことができます。もちろん、処方は当院でも可能ですし、重症化リスクの高い方や高齢者はその限りではありませんが。

今は土日診療をおこなっていない医療機関も土日祝日の診療を行う医療機関が増えるというのも解決策の一つです。複数の医療機関を当番制にして外来診療を担当するなどという選択肢もあると思います。もしそうするのであれば、その仕組みづくりを誰かが音頭を取らなければなりませんが、土日祝日に診療をしても良いという医療機関を探すのは大変でしょうから、その担い手が現れることを期待することも難しいのかもしれません。
少なくとも今、みんなの診療所では診療全体に対する感染対応の割合が未だかつてなく高まっています。もちろん、診療所で受け止め切れる限りは受け止めたいと思っていますが、その分、その他の診療の方が遠慮をしているのは事実です。それを私たち医療を提供する側が制限をすることは簡単ですが、そうすると有限な医療資源を『みんな』で仲良く利用するという視点からは外れ、提供する側が完全に受診者をコントロールする事になります。それを私は望みません。医療は医療者側にその主導権があるのではなく、利用される皆様にこそその主導権があります。だから医療は皆さん一人一人のものであるという気持ちを込めて『みんなの診療所』と名づけました。
果たしてこのままで良いのでしょうか?
私たち医療者はどうするべきなのでしょうか?
自治体はどうすべきなのでしょうか?
地域の皆さん一人一人はどうするべきなのでしょうか?
自分達のことだけを考えていてはいつまでたってもそこに、理想的な最終形は見えてきません。
限りある医療資源、どうしたら最大限に有効活用できるのでしょうか?
それぞれの方が自分達の置かれた立場で今一度よく考えてみてほしい。
今日は強くそう思う1日でした。
そんなここ3日間は感染対応152件、検査120件、陽性84件、陽性率70%でした。
医療資源は有限です。その医療資源をどのように分け合うか『みんな』で考えていきましょう。

