診療所の皆様、6月19日〜22日は診療所を休診として、北海道で開催された日本プライマリケア連合学会に参加してまいりました。本来はプライマリケア認定医/指導医の資格維持のためにも必要な学会参加なのですが、せっかく地域の皆様にご不便をかけて学会参加するのだから、明日からの診療に活用できる何かを持って帰ってこなければ!!と、盛りだくさんに予定を詰め込みました。と、思ったら、その前も濃密な濃密な時間でした。この1週間を時間を追って振り返ります。
6月16日(月)
奄美に縁のある研究者の方が、コロナ禍からずっと診療所の活動を気にかけていてくださり、数年ぶりにお会いすることができました。今年は小徳が診療所にいてくれるので、彼とも是非とも会っていただきたいと思い、その機会をセッティングさせて頂きました。奄美の地域医療がよくなるには、そのために研究の力は助けになるのか?、政策へと昇華できる課題があるのか?そんな議論であっという間に数時間が過ぎました。小徳との熱を帯びた会話を横で聞いていて、何か新しい流れが生まれそうな予感を感じました。何か具体的なアクションにまで高めていけるように、環境を整えてあげることが原の役割だなと感じています。ワクワクが止まりません
6月18日(水)
いつも、お世話になっている、県立病院の先生方と近況報告も兼ねて食事に出かけました。全てが思い通りに行くわけではない、この日常の日々で、でも出来うる最良を目指して、日々奮闘している先生方の近況を聞き、このような熱い気持ちの先生方が県病院で待ち受けてくれているから、私は安心して診療ができるのだなと再認識しました。地域にこうして腹を割って話ができる仲間がいることは本当に心強いし有難いことです。
6月19日(木)
休診日だったのですが、産業医(職場の安全や職員の健康を管理する医師)をさせて頂いている企業の職員さんの健診を依頼を受けていました。職員の人数が多い企業だったので、診療所の診療能力で対応できるかギリギリのラインでしたので、休診日に臨時的に診療所を開けて対応することにしました。その決断をしてくれた診療所スタッフの前向きな姿勢、地域に求めらるものに応えたいという気持ちに胸を打たれました。なんて、素晴らしいスタッフたちに囲まれて仕事が出ているのだろうと改めて感じる出来事でした。初めての試みだったので会社の担当者の方も大変だったと思います。ご対応ありがとうございました。私も驚くほどスムーズに進んだので、スタッフの企画力、実行力の高さに感動しました。

6月20日(金)
6月21日からの日本プライマリケア連合学会に参加のため、半日かけて北海道へ移動。空港から札幌へ行く途中に、救急医の先輩である野崎先生がされている厚別ひばりクリニックを見学させていただきました。救急医からの開業という同じ道を進む先輩からパワーと知恵を分けて頂きした。野崎先生、ご多忙の中お時間をいただきありがとうございました。特に、プライマリケアのセッティングで多汗症治療を積極的に行われており、診療の実際を教えて頂きました。腋窩多汗症、手掌多汗症については保険適応の外用剤があるので、その範囲であれば診療所でも行うことはできるのではないかと感じました。過去に何回か患者さんに相談を受けていたのにも関わらず、その時は私自身に新しいことを学ぶ余力がなく、『皮膚科で相談してみてください』と、お伝えするに留めてしまっていたことがずっと気になっていたので、少しスッキリしました。

早速、いつも大変お世話になっている、和光園の馬場先生にそのアイデアについてご相談させていただき、相談する場所が増えることは良いことだとアドバイスをいただき、ガイドラインをご紹介してくださいました。
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/takansho2023.pdf
週明けには、実際に製薬会社に実際の診療に際してのポイントなどを教えていただく方向で準備を進めています。診療開始ができそうな目処が立てばまたSNSやブログでもご案内させていただきたいと思います。

6月21日(土)
この日は朝から、学会参加です。多くの人に会うことができたので、少しずつ紹介します。
*鹿児島大学 崎山隼人先生 : 昨年の奄美でのシンポジウムで大変お世話になりました。崎山先生の発表がありましたので、拝聴し、昨年の御礼を改めてさせていただきました。
*前大和診療所長 小川信先生 : 小川先生も今回発表があったので、その会場に先回り。ご挨拶させていただきました。働くフィールドは違っても、マインドはいつも一緒です。これからもご指導のほどよろしくお願いします。お会いできて嬉しかったです。

*帯広徳洲会病院 朴澤憲和先生 : 先日、診療所に来てくださったので、今後は原が北海道に来ました(笑)朴澤先生の発表には間に合わなかったけど、元気そうな顔が見られて嬉しかったです。またぜひ奄美にいらしてください。
*安房地域医療センター救急科佐々木暁洋先生 : 一緒に仕事をしたことはないのですが、八戸救命の同門生です。地域に出ていく活動、政策ついての勉強など彼の活動にとても関心と憧れがあり、いつもSNSなどでの投稿を楽しみにしていました。小徳と向かっている方向性が似ているきたして、ぜひこの機会に小徳と佐々木先生を引きわせたくて、佐々木先生に無理を言って時間を作ってもらいました。お話しできた時間は短かったですが、この出会いにより新しい何かにつながればとかすかな願いを込めてのことでした。佐々木先生の話じっくり伺ってみたいです。今回は貴重なお時間いただきありがとうございました。
*はしもと総合診療クリニック 橋本修嗣先生
橋本先生は八戸時代の先輩で、大変お世話になりました。芯がありつつも温かみがあり、でも時には厳しく指導もしてくださる尊敬する先輩です。原の診療所長としての誰にも相談できない悩みをたくさん聞いていただき、率直にアドバイスを頂きました。特に診療以外の社会活動にも力を入れていて、通常診療とのバランスの取り方について大変参考になるお話を聞けました。奄美に戻り、どのようにしたらそのエッセンスを診療所の中に落とし込み、職員も地域の方ももっともっと良い方向に向かっていけるか、推敲したいと思います。また、ご一緒させて頂いた診療所スタッフの方からも大変、貴重はお話しをお聞かせいただき、健康の社会的決定要因にも配慮して活動されていると伺い、ぜひ、診療所にもその機能を実装したいという思いを強くしました。学会中という大変貴重な時間の中、私のためにお時間を割いていただき本当にありがとうございました。お食事中に一人メモを広げて食事もそこそこに話しまくってしまって申し訳ありませんでした。とても有意義な時間でした。
そして、夜は小徳と合流し、この濃密な1週間を振り返りました。まだまだ消化しきれていない部分も大きいですが、小徳が診療所に来てもうすぐ3ヶ月。徐々に婦人科診療が始り、彼の定期受診に通院する方も増えてきました。彼もすでに診療所の大事な柱の一つになりつつあります。彼の地域医療にかける思い、知的探究心を出来るだけ遮ることなく、十分に診療所でその想いを表現できるようにすることが、私にできる唯一のことかなと思います。
そのために、日常の診療所運営をより盤石なものにしていかなければなりません。大変、嬉しい悩みですが、成長と継続性を両立できるように所長としてのハンドリングが試されていると感じます。慎重に、でも大胆に舵を切りたいと思っています。そのためにはスタッフ全員の協力が必要です。そして、家族や地域の皆様の力も必要です。これからもみんなの診療所が地域の皆様と共に成長し続けていける存在であるようにどうかサポート、応援をお願いいたします。