現在、鹿児島県では新たな 保健医療計画、医師確保計画それぞれのパブリックコメントを募集中です。奄美大島の中心を担う、奄美市に医療に関する計画がない中で、私たちが奄美地区の医療についての計画に触れることができる部分はこれしかありません。地域の皆様にもぜひ関心を持っていただきたいと思い、ブログで紹介させていただきました。
まず、こちらが保健医療計画です。
https://www.pref.kagoshima.jp/ae01/kenko-fukushi/kenko-iryo/iryokeikaku/hokenniryoukeikakudai8.html
そして、こちらが医師確保計画です。
https://www.pref.kagoshima.jp/ae03/kenko-fukushi/kenko-iryo/gaiyo/2023ikenbosyu.html
これはあくまで原の主観を通しての感想ですが、二つの計画を合わせてみてざっくりというと概ね以下のような方針だと感じられます。
1)県立大島病院、国保直営診療所や僻地診療所、大学病院を中心とした計画である。その枠組みから漏れる医療の隙間はある。
県の計画ですので当たり前ですが、県組織の中でコントロールできる部分のみ記載にとどまります。大学や自治医科大学の医師をどのような配置にするか、県立病院局や県立病院の枠組みの中でできる対策は何か、僻地診療所や国保診療所の運営について。などなどです。私は7年間県立病院にいましたので、少しはこのような枠組みを理解しているつもりです。とても必要な対策だと思いますし、その恩恵のおかげで、奄美の医療は守れらていると感じます。県の計画としてできることの範囲では対策がなされているとも感じます。が、県でコントロールできる範囲には限界があるなとも同時に感じます。その外に埋められていない医療ニーズは存在します。ですが、県の計画である以上、そこに踏み込むことはでききません。これが、県の作成する計画の限界でもあると感じます。
そして、計画の位置付けという部分には以下のような記載があります。
市町村に対しては,保健医療行政の計画的な運営を図るための指針となり,保健医療関 係機関・団体に対しては,本計画の示す方向や対策について理解と協力を得るとともに, その活動の指針となることを期待するものです。
https://www.pref.kagoshima.jp/ae01/kenko-fukushi/kenko-iryo/iryokeikaku/documents/110372_20240109181007-1.pdf
私としては県としの方向性は示したから、あとは市町村や医療機関でそれをもとに計画を立ててね。という意味だと感じています。実際に、奄美で医療を提供していて、県の計画の範囲だけでは解決できない課題は実際に多く存在しています。
2)医師偏在指数は高く、医師少数地域であるが、医師増員は行わない方針
平成28年と令和5年を比較すると奄美医療圏の医師数は12人減少した(その間、県全体では219人増加した)。この数字は県内の全医療圏の中でもっとも医師数の減少が多かった地域であることを指します。そして、医師偏在指数は全国の市町村の下位1/3に属しており、医師少数地域なのですが、医師確保計画では2026年までに増員は目指さず現状維持で良しとする計画です。実現不可能な計画を立てるのはよくなので、そういう意味では、県の枠組みの中では現状維持が精一杯という考え方であるとも感じられます。ですが、医師偏在が確かに存在する地域でありますので、それで満足するのかということは地域に実際に生活する皆様や実際にそこで医療を提供している私たちは考えなければなりません。県の計画で現状維持の方針だから、それで良いわけではありません。私も地理的にも自分達がかなり踏ん張らなければいけない地域である奄美群島はもっと、人的に余力のある状況を目指す方が良いと考えています。そのために、県の計画を上回る医師確保が必要だと思っています。そのために、何ができるのか。もっと地域全体で考える土台が出来がると良いななと感じています。
皆様も、ぜひ関心があれば、この二つに目を通していただいて、自分が住む地域の医療計画や医師確保計画がどうなっているか。県はどのように考えているか。県の計画に載せきれない部分をどう考えるか。自分達のこととして考えてみていただきたいと思います。