みんなの診療所は新しい仲間を募集中です。
このブログではハローワークの求人欄では伝わりににくい、みんなの診療所の想いについて改めてご紹介し、同じ方向を向いて共に歩んでいける仲間に出会えることを期待しています。
みんなの診療所には掲げている大切な理念があります。
具体的な理念はweb siteでも紹介しています。
特に大切にしているのは
*『医療』をもっと身近なものにする事
*『奄美』をもっともっと元気にする事
この2点です
日本全国の地方都市が同じ課題に悩むように、奄美も急激な人口減少の時代に突入しています。私は奄美で医療を続ける中で、医療についても島外流出、県外流出を肌で実感しています。
自分の市町村より名瀬。名瀬より鹿児島や沖縄。鹿児島や沖縄より東京や大阪と。時間的な猶予がある場合については、医療を受けるために島外や県外への受診を希望される方は私が初めて奄美の地を踏んだ17年前より確実に増加しています。
そんな中、この間に県立大島病院には救命救急センターが開設され、ドクターヘリが配備されました。そのことにより緊急性のある症例についても集約化はより一層拍車がかかっています。誰もが高度な医療を受けることができることはとても素晴らしいことで、それ自体は私がこれまでの医師としての時間の大半を費やして目指してきたことですので、それが実現してとても嬉しく思っています。実際、重症症例や緊急度の高い症例の救命率は確実に上がったと実感しています。
その反面、みなさんの身近な街並みのことを思い浮かべてください。
昔自分が子供の頃、風邪や怪我で受診でしたクリニックや診療所が次々と閉院していたりしませんか?
みなさんの通っている医療機関の担当医は短い間隔で異動や転勤があり、新しい担当医に慣れて来た頃に、また担当の先生が変わるということも多いのではないでしょうか?
ですが、それは、ある程度避けられない事です。奄美で生まれ育った人たちでも、進学や就職で島を離れ、そのまま奄美には戻って来ないという方は多いと思います。島外により魅力的な事がある、ご家族の事情、島では仕事がないなど事情は様々だと思います。よく考えれば、医療だけでなく、奄美は多くの転勤やローテーションで奄美に来てくださる皆様のおかげで成り立っている島であるとも言えます。大島支庁の方、学校の先生、警察官、自衛隊の方々、電力会社や銀行の方々など例を挙げればきりがありません。
その中でも特に、医療については、
『できればいつも同じ先生に診てもらいたい』
というニーズはそのほかの職種に比べると高いと感じます。
それはなぜでしょうか?
それは直接、命に関わる事だから、自分の体に関わる事だからではないでしょうか?
私たち医療者は医療を提供するということに慣れすぎてしまって、そのあたりの感覚が麻痺している部分があると思います。
体調の管理や病気を発見するためとはいえ、親子ほど年齢の離れた方から『先生』と呼ばれ、普段の生活のことを隅から隅まで聞き出し、場合によっては本人があまりお話ししたくない食事や飲酒、喫煙、時には排便状況や性交渉に関すること妊娠についてなど、とてもプライベートなことまで伺わなければならない場面もあります。診察の場面においても、口の中や胸部、腹部、時には肛門まで診察しなければならないこともあります。治療によっては痛みを伴う治療もありますし、出血を伴う治療もあります。
できれば聞かれたくないことも話し、体の診察を受け入れ、場合によってはメスや針で切ったり、刺したりされることも許容して。診察や治療が終わると『ありがとうございました』と言われる方が多いです。
私は来年で医師20年目になりますが、今でも毎日のように『医師とはなんと不思議な職業なのだろう』と感じない日はありません。医師と患者という関係性を離れれば、プライベートなことを深く聞き出すことや、体に触れたりすることは明らかにおかしな行為です。場合によっては犯罪です。針やメスで刺したり切ったりするなどはいうまでもありません。このようなことの特殊性を私たち医療者は当たり前のこととして慣れすぎて、ご来院いただく方がどのような気持ちで私たちの質問に答えるのか?聴診器を当てられながらどんな気持ちでいるのか?などを推し量ることが十分できていないのではないかと感じています。もちろん、それについては私も日々反省しつつ、『医療』というものの特殊性を常に心に留めておかなければならないと感じています。
そんな、自分のできれば隠しておきたいことも時にはさらけ出さなければならない、自ら進んで痛いことや怖いことを受け入れなければならない場面のある『医療』だからこそ、
『できればいつも同じ先生に診てもらいたい』
と思うのではないでしょうか?
そこで、本題です。
いつも同じ先生に診てもらう事を奄美で実現するためには
その医師がずっと奄美に居たいと感じていなければなりません。
その医師にも家族がいる場合も多いと思いますので、その家族もずっと奄美に居たいと感じていなければなりません。
つまり、奄美自体が長く暮らしたいと思える魅力のある島でなければなりません。
だから、私は常々感じています。
奄美の医療を『妥協』する事なく持続可能なものにするためには、職場としての労働環境や給与を工夫することより、まず、奄美自体が長く住んでみたいと思える魅力的な島であることが大切だと思っています。
『働きたい島』ではなく『住みたい島』でなければならないという事です。
しかし、私には医療というツールしかありませんから、
自分が医療と向き合う中で、住みたいと思える島のためには何が必要かということを常に考えて過ごして来ました。救命救急センターとドクターヘリについては鹿児島県の英断と集まってくれた仲間の支えにより実現し、まだまだ課題は多いものの十分軌道に乗りました。
次は、もっと気軽に受診できる。いつでも受診できる、あそこに行けばひとまず診てれる。ちょっとした相談でも話を聞いてくれる。そんな敷居の低い、居心地の良い医療機関が必要だと考え、4年の構想の末に『みんなの診療所』は誕生しました。
そんな『みんなの診療所』では
*専門外でも一度は診察して、必要に応じて専門診療科を紹介するように心がけています
*早朝の出勤前、登校前にも受診ができます
*仕事の後、部活の後でも受診ができます
*診療所にはお昼休みがないので、みなさんがお昼休みの時に受診が可能です
*土日祝日でも正月でも盆でも受診ができます
*院内でお薬の処方まで行っています
*救急車も受け入れています
*発熱外来も行っています
*発熱外来は車の中に乗ったまま診察、お薬のお渡し、会計まで全て行っています
*予防接種は特に看護師を中心にとても力を入れています
*健康診断は予約なしで受診可能です
普段の時は気軽に受診でき、
もしもの時には救命センターやドクターヘリがある。
医療の面では少しは『住みたい島』に近づけることができたでしょうか?
ですが、もちろん、医療はチームで機能してこそ良いものとなりますし、長く続けていくことができます。みんなの診療所はまだまだ開所2年程度のひよっこ診療所ですが、それでもここまで診療を続けることができたのは、信頼できる、尊敬できる仲間たちが集まり、一緒に診療所を盛り上げてくれているからです。
現在、診療所には私の他に8名の常勤スタッフがいます。看護師4名、医療事務2名、医師クラーク2名です。そして、私の妻も裏方として診療所のサポートをしてくれています。これから、まだまだ挑戦してみたいこともたくさんあります。また、5年目、10年目を見据えて、人材育成という面でも種を蒔いていかなければならないステップに入りました。
『医療』をもっと身近なものとすることで、体のこと、健康のことを気軽に相談しやすくなる。そのことによって奄美の『人』が元気になる。『みんなの診療所』が今奄美に存在する『医療の隙間』を埋めることで、少しだけ『奄美』が『住みたい島』に近づく。それらのことにより結果として『奄美全体』がもっともっと元気になる。そんな未来を描いています。
『みんなの診療所』では、そんな奄美の未来を一緒に描いてくれる新しい仲間を募集しています。
今回の募集は
医療事務 常勤スタッフ 1名 です。
医療事務と言っても小さな診療所ですので、レセプト業務のみならず、受付、会計なども行っていますし、医療行為などには当たらない誰もが行うことができる業務は職種に関係なく、その時、できる人がお互いの状況をみながら職種を超えて助け合いながら仕事をしています。所長の私も時々、お会計のお手伝いをしたりするときもあります。そこは小さな診療所の風通しの良さとフットワークの軽さの良いところだと思っています。みんなで助け合って今までもこれからも仕事をしていきたいと思っています。
詳細はハローワークでご確認ください。インターネットでも検索可能です。
いきなりの応募のハードルが高ければ、まずは診療所に見学に来て頂くだけでも大歓迎です。
未経験者でもOKです。スタッフが段階を経て指導していきます。
少しでも興味があれぜひお気軽にお声かけください。
長い長い文章を最後までお読みいただきありがとうございます。
新しい仲間との出会いを期待しつつ、この記事を投稿したいと思います。