さて、最近はすっかりブログで自分の考えを述べたりすることが減ってしまった毎日でした。これではいけないと久しぶりに少し時間をとって、2023年を振り返りつつ頭を整理して、ここ最近考えていることを文字にしてみようと思います。
約3年半前みんなの診療所は産声を上げました。
医療をもっと身近なものにする。
受診のハードルを出来るだけ下げる。
病院嫌いの人にも来てほしい。
そんな目標を掲げて始めたみんなの診療所。
当初の自分の想像を遥かに超える皆様にご利用いただく結果となり、少しは自分の掲げた目標が達成されているのかなと嬉しく思うこともあります。
その反面、原一人では受け止めきれないほどの方にご来院いただく日もあり、今の奄美の医療の置かれた状況、そして未来の奄美の医療がどうなっていくのか、少し不安になることもあります。
私が今、診療しながら感じていること、は開業当初の考えから少しずつ変化やズレが生じてきたので、そのあたりを自分の心の中を見つめつつ文字に起こしていきたいと思います。
<2023年12月現在の原が感じていること>
*2022年は1月に新型コロナウイルス感染症の大きな波が来ました。それまであまり新型コロナウイルス感染症の診療に携わっていいなかったみんなの診療所でも検査や治療を行うようになりました。そして5月ゴールデンウイーク、7月8月の大流行の時には長い待ち時間になったこともあり大変心苦しかったですが、少しでもお断りすることなく発熱外来の受診者を受け入れてきました。どの医療機関も自分たちのできる最大限を振り絞っていたはずですが、その供給は十分とは言えない状況でした。
*2022/23年は地域の医療機関も休診や閉院が続くことになりました。もちろん、地域医療の状況を考えると想定されていたことではあったのですが、私が予期していたよりは数年早い展開となりました。小さな私たちのような医療機関の存続のさせ方というものを改めて考え直さなければならないと身にしみて感じることになりました。また、2023年はそれまで2箇所だった、嘱託医や園医、校医が、8箇所に増えました。これらも診療所の大切な役割だと思っているので、できる限りこれからも応需し続けたいと考えています。
*2023年は地域研修医師の受け入れを行いました。開業するときに、もう若手医師を指導することはないだろうと感じていました。そのニーズはないと考えていたからです。しかし、県立大島病院と大阪のりんくう総合医療センターの2カ所からお声かけいただだき、地域研修医師の受け入れが実現しました。診療所と県立病院がつながること、若手のエネルギー溢れる姿が診療所にあること、診療所と島外の医療機関がつながることは診療所にとっても、奄美全体にとってもとても有意義なことだと感じました。そのため、診療所でも若手の教育指導体制を確立できるように改めて準備をしていかなければならないと感じました。
これら3つの出来事は、まずは診療所自体がより診療能力を高める必要である。そして、自分たちの力で次の世代へと引き継いでいけるシステムを構築する必要があるという、とても厳しい命題を私の目の前に突きつけることとなりました。そして、自分なりにそれに向けて歩き出す決意をしました。開所してまだ3年ちょっとですが、私はどうしたら自分がいなくなった後もみんなの診療所がみんなの診療所らしくあり続けることができるのかを、当初よりもずっと差し迫った課題として捉えるようになりました。種を蒔いて実がなるまでには長い時間がかかります。だから、このタイミングでそれを考える機会を得ることができたことは結果として良かったのではと今は感じています。
今回はここまで。
次回は、その結果私が考えたこと、動き出したことについて、書いていこうと思います。