みんなの診療所原です。
12月5日は次女碧のクリスマス音楽会でした。
このご時世ですので開催自体が危ぶまれていましたがなんとか無事開催することができました。
10月の運動会シーズンに引き続き臨時休診をいただきまして、皆様にはご不便をおかけしました。ご理解とご協力をいただきありがとうございました。
幼稚園生となって初めてのクリスマス音楽会。歌に踊りにと全力で取り組み笑顔を絶やさない次女を見て、成長を感じるとともに、全力で生きている彼女の姿を見て自分が元気をもらいました。碧に笑われないように私ももっと頑張らなければと決意を新たにしました。

7月の開所から11月までは臨時休診を除いて木曜日の診療所休診日に原は月3回ほど県立大島病院でドクターヘリ当番を行っています。つまり、完全なお休みは月1回。これが私が選んだ働き方です。正直無謀な働き方であるという自覚はしています。そして、おそらく家族や診療所のスタッフもそう感じていると思います。診療所にいらっしゃる方にも『先生はいつ休んでるんですか?体は大丈夫なんですか?』とよく聞かれます。
普通に考えても、この働き方をずっと続けるのは無理だと思います。
私はこのみんなのスタートダッシュの時期を『2年』と考えています。
経営が軌道に乗るまでに1年。そこから私が少し診療をお休みする時間を持っても周りのスタッフが代診の先生方のサポートができるようになるまでに1年。
と見積もっています。
まずは約半年が経過しましたので12月からドクターヘリ当番の回数を月2回に減らして月に2日はお休みをいただくようにしました。
それと、前回ブログでもご説明させていただいたように、毎年の子供たちの運動会とクリスマス音楽会の日だけは臨時休診もしくは代診とさせて頂こうと思っています。
こんな働き方なので平日は子供達が起きる前に出勤しています。そして寝てから帰ってきます。
そのため最近、碧と庵(次男)には土日の少しゆっくり起きる朝に顔を合わせると
『ねぇ。お父さん。今日はお仕事お休み?』
『今日は診療所だよ。夕方には帰ってくるから起きてる碧と庵が起きてる間に帰ってくるからね』
『なんだ。せっかく今日はお父さんお休みで一緒に遊べると思ったのに』
『仕事から帰ってきたら寝る前にお父さんと遊んでね』
『うん』
こんな会話がルーチンになりつつあります。
父親としては複雑な心境です。
もちろん、子供たちも前の職場を離れて、診療所が始まればそんな生活になるということは説明してありました。私が仕事を頑張っていて、診療所に来てくれる人たちが頼りにしてくれて治療により元気になることを喜んでくれているのは理解してくれています。だから、
『寂しいけど、お仕事がんばってね』
『診療所に遊びに行くね』
などと言ってくれています。
先日、小学校で自分の好きな栞を作ることになった時、庵は診療所の写真で作った栞を持って帰ってきました。
碧は時々妻のスマホで撮影した動画を送ってきてくれます。

世の中には単身赴任で家族と離れて生活しているご家庭もありますので、一つ屋根の下で暮らせているだけでとても喜ばしいことなのですが、それでも子供達の反応を見ると、子供たちにも協力してもらって今の働き方をさせてもらっているのだなと、感謝の気持ちが湧いてきます。
さて、なぜこんなことを診療所のブログで書くのでしょう?
家庭を犠牲にして仕事を頑張っている自分を認めて欲しいからでしょうか?
そんな自分に感謝して欲しいと思っているからでしょうか?
全然違います。
周りから無謀な働き方だと言われても
妻に家庭や診療所のことなど今まで以上に多くのサポートをしてもらう事になっても
子供達に寂しい思いをさせても
奄美に必要な何かを『みんなの診療所』を通して成さなければならないと私は強く信じているからです。
最近ブログで紹介した
休日診療や夕方診療のニーズ
特に小児科診療や予防接種のニーズがその時間帯に大きいこともわかりました。
早朝に受診してから出勤や登校をしてくれる方も増えてきました。
そして予想以上に訪問診療のニーズがありそうな事も大きな驚きです。
奄美に眠っている医療ニーズが他にもあるに違いないと感じています。
そして、奄美に暮らす人々が、元気に生き生きと暮らして欲しいと心から願っています。
まだまだ上手く表現しきれないのですが、奄美の医療は砂上の楼閣のような気がしてならないのです。
それを少しでも強固なものにしなければならないという漠然とした不安が頭から離れないのです。
その思いが私を突き動かしみんなの診療所は生まれました。
そして、そのスタートダッシュとして私は今、一見無謀にも見える働き方をしているのです。
その想いが少しでも届いたら嬉しいと思い自分のことを曝け出しています。
みんなの診療所は利用者の自己負担額が出来るだけ少なくて済むように、高額な検査機器は置いておらず、そのような検査が必要な方はより大きな医療機関をご紹介する事にしています。また同じ理由で治療方針に影響を与えない念の為の検査も出来るだけしないように心がけています。薬剤についても必要最小限の処方にとどめ、効果の曖昧な高額な新薬は使用しないようにしていますし、出来るだけジェネリックを使用するようにしています。そのため、みんなの診療所の利益は必要最小限です。
もう少し原が休みを取れるようにするためには、診療所で提供している医療を多くの人に評価していただき、多くの人が足を運んで下さるようになり、診療所に応援の医師を招くだけの余力を産まなければなりません。私が提供する医療が本当に必要とされているものであるならば、きっと、目標の2年後にはもう少しお休みを取ることができる状況になっているはずだと信じ、自分にプレッシャーをかけるための働き方でもあります。
そのために、妻も子供達も全力で私を応援してくれていますし、診療所スタッフも本当にみんな一生懸命に日々の診療にあたってくれています。
『今日はお休みだよ。1日ゆっくり遊ぼう!!』
そう言ってあげられる日を目指しつつ、自分の目指す医療には妥協はせずこれからも一歩ずつ成長して行きたいと思います。奄美の医療の明るい未来も、家族との幸せな時間も両方妥協せず欲張りに目指していきます。まだまだ手探りの日々ですが、引き続きみんなの診療所をどうぞよろしくお願いいたします。