前回書いたように、救急外来にいて救急車を待ち受けながら、もっと早くからこの人に関われていたら、今日の救急搬入は防げたのではないか??そんな気持ちで、救急のその前から関わりを持てる仕組みづくりをしたいと想い独立を考えたのが、もっとも大きな理由です。
そんな思いを人に話す時『予防医療ですか?』と聞かれる時があります。半分Yesで半分Noです。予防医療と呼べるところまで到達することができれば、それはとても素晴らしいことですが、逆に健康診断は寿命を延長させないというようなデータも大規模なものが発表されています。私はそれぞれの各段階に溝があると考えています。
まずは自分の体調について関心を持つ段階。その段階で医療機関を受診すれば健診を受けることになります。これが第1段階です。関心はたいしてないけど職場で強制的に年一回健診を受けることになっている。これは仮に第0.5段階としましょう。関心もなく健診をうける機会もない人は第0段階です。

そして、自分の体調に不安や異常がある段階。この段階では時に健診となるかもしれませんし、時には受診という形になるかもしれません。少なくとも何らかのアクションを起こす人を第2段階とします。不安や異常があるのに何らかの理由でアクションは起こさない人もいます。この段階を第1.5段階とします。
健診や診察で異常を指摘されて、そのために精査やその後の治療を継続的に行う段階を第3段階とします。異常を指摘されたにもかかわらず何らかの理由で精査や治療に結びつかなかった人たちを第2.5段階とします。
わたしのイメージする予防医療という言葉の意味はこの第3段階をさしているように感じます。前の文章を見てご理解頂けたと思いますが、その前の段階の人たちがまだまだたくさんいると私は思っています。その各段階の人たちが自分たちの意思で必要な治療を受け続けてくれたら、きっと健診は寿命を延長させるのではないかと私は考えています。
なぜ第0段階の人は医療機関に来ないのか?どうしたらきてくれるのか?そもそも来るべきなのか?
第0.5段階の人はどうしたら健診結果を有効活用してくれるのか?
第1.5段階の人がアクションを起こさない理由は何なのか?それは医療側の私たちで解消可能か?
第2.5段階の人は異常があるのになぜ精査や治療に結びつかないのか?それは医療側の私たちで解消可能か?
こんなことを考えていきたいと思っていますので、救急の次は予防医療をやりたいのかという質問には半分YESで、半分NOとなります。そして、わたしは救急とこれらの仕事は別の仕事ではなく同じ仕事の違う時期を扱っているだけだと解釈しています。
また、次回へと続きます。