5月8日から新型コロナウイルス感染症は現在の扱いから、5類感染症へと移行することになります。それにあたり2022年1月7日から新型コロナウイルス抗原定性検査を開始し、現在に至るまで発熱外来、感染症対応を多くおこなってきたみんなの診療所として今までを振り返ると同時に、今後の診療所としての向き合い方についてもここでお伝えできればと思います。
また、具体的な5月8日以降の発熱外来の変更点などについては別にご案内したいと思います。
1)現在の新型コロナウイルス対応において考慮していたこと
*全例届出が必要(途中で届出対象は限定されましたが、発生数の報告は現在も全例継続)
*自宅療養、濃厚接触者の自宅待機が必要である
この2点が、検査を積極的に行って診断をしていかなければならないと考えた理由でした。もちろん、重症化リスクの高い高齢者などに感染を広めないように、命を落とす人が少なく済むようにという点はとても大切な点だったと思います。
ですが、私としてはそれにもまして、症状がない同居の家族やその他の濃厚接触者も自宅待機を求めらる点が、とても考慮すべき点であると感じていました。できるだけ感染が広がらないようにすることで、症状のない人が自宅待機を求められずに済むようにとの思いがかなり強かっと思います。いくら感染症をコントロールするためとはいえ、症状のない元気な人の行動まで制限するということにとても罪悪感を感じていましたので、早く感染を収束させて少しでもそのような人が少なく済むようにと日々思っていました。
そして、それと同じくらい、島の中核医療機関である、県立大島病院をはじめ入院病床をもつ島の医療機関が、本来その医療機関が果たすべく高度な医療に注力できるようにしたい。その他の疾患の医療が平時の状態に近い状態が出来るだけ維持されるように、微力ながら診療所としてコロナ診療をサポートしたいという気持ちがとても大きかったです。
この3点が、今まで、みんなの診療所が5時間待ちや6時間待ちとなるような時期でも、一人でも多くの発熱者の受け入れを行っていた理由です。
改めてまとめます。今まで、みんなの診療所が発熱者の受け入れを積極的に行ってきた理由は大きく3点です。
1:重症化リスクの高い高齢者などに感染を広げないため
2:症状のない元気な人が濃厚接触者とて自宅待機が必要となることを最小限にするため
3:平時の医療体制を維持できるように中核医療機関のコロナ診療の負担を少しでも取るため

2)5月8日以降の変化について
5月8日となると、新型コロナウイルス感染症は5類感染症に移行します。
その間に昨年から、届出対象が限定され、検査キットが市販されるようになり徐々に診療を取り巻く環境は変化してきました。
そして、今後は、届出は必要なくなり、発生件数の報告もインフルエンザウイルス感染症の定点報告機関のみとなります。みんなの診療所からは報告が不要となります。今まで公費で賄われていた検査や治療、入院に関わる費用も徐々に通常の保険診療の適応となります。感染者の自宅療養も、濃厚接触者の自宅待機もなくなります。大きな変化です。
そして重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方など以外は、症状に対する治療が中心であることは今後の対応を考える上で重要なポイントであると考えています。
また、つい先日、5月8日以降の学校や、保育園、幼稚園での新型コロナウイルス感染症の際の出席停止期間が季節性インフルエンザウイルス感染症と同様の『発症から5日間、もしくは解熱後2日間(未就学児は3日間)』となることも発表されました。
これらの要素を総合的に踏まえた上で、今後、みんなの診療所では5月8日以降の発熱外来の在り方について検討をすることとなります。
この1年半、通常の医療と発熱外来のウエイトは発熱外来に大きく傾いていた時期が長かったですが、ようやくそれを元に戻す時がきました。重症化リスクの高い方達に感染が広がらないように気をつけつつ、以前の医療環境、生活環境に近い状況へと戻っていくタイミングが今なのだと思います。
近いうちに、今後の発熱外来の方針ついては改めてご案内いたします。その際は皆様のご理解、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。