診療所をご利用の方にご報告及びお詫びです。
2025年7月23日夜、googleに☆1つのレビューを頂きました。レビューを下さった方に十分な対応ができなかったこと、大変申し訳ありませんでした。また、レビューをすることはエネルギーが必要な事であったと思われます。私にこのような声を率直に届けてくださる事、感謝致します。限られた資源の範囲で少しでも改善ができるように努めてまいりたいと考えております。
まずは、私がレビューをして下さった方に宛てたお返事をこちらでも紹介した上で、このような思いをされる方が少しでも減るように、診療所や奄美の医療の現在について補足をさせていただければと考えております。皆様の医療機関受診のタイミングや受診する医療機関の選定の参考になれば幸いです。
『みんなの診療所所長の原純と申します。この度は、***様にご満足のいただける対応ができずに大変申し訳ございませんでした。発熱されている方に関しては、予約なしで、発熱外来の時間内であれば無制限に受け入れている関係もあり、1日に対応する方の人数が多くなる傾向にあります。その中で、一人一人の方に十分な時間をかけて向き合うことができない状況があることも事実です。その点において、***様に満足していただける医療が提供できていなかった可能はあると思います。率直にお詫び申し上げます。
多くの受診者の中でも一人一人にかけることができる診察時間をどうしたら少しでも長くできるか、丁寧な対応ができるかを、診療の流れを常に見直し、スタッフ全員で診療に取り組んでいます。しかし、1時間に20人の受付という時間帯も多く、その中に、縫合の処置や高次医療機関への緊急の紹介が必要な方などもおられ、診療所のスタッフ数の範囲で工夫し改善できる部分と、人的、物理的、時間的な限界によりどうしてもお話を聞く時間や診察、検査などが必要最低限とならざるを得ない部分があり、私自身もいつも悩みながら診療を続けています。***様のような印象を持って診療所を離れる方も実際にはもっとたくさんいらっしゃるのだろうと推測します。
その中でも、出来るだけ受診にいらっしゃる方をお断りすることなく、一人でも多く受け入れ、それでいて、診療の質を落とさないようにと細心の注意を払っているつもりです。もちろん、***様にこのようなコメントをさせてしまったことは所長である私の責任です。このコメントを真摯に受けとめ、さらなる診療の質の向上に努めて参ります。この度は大変申し訳ございませんでした』
診療所を頼りに受診していただいたにも関わらず、このような思いを抱かせてしまったことは、所長として大変心苦しく感じております。改めてお詫び申し上げます。
その上で、現在の診療所の状況、奄美の医療の状況について補足をさせて頂きます。
1)みんなの診療所の診療に対する姿勢
まず最も根本となる診療所の方針として、診療時間内に診察が終了できる範囲であれば、予約なしで全ての方の受診を受け入れることとしています。出来るだけ受診される方をお断りすることなく受け入れることを信条としています。
過去の状況を考えますと8時間の診療時間に対して124名の受診という受診者数が、1時間あたりに受診された患者さんが最も多かった状況です。この状況ですと1時間あたり15.5人の受診となります。原がこの間、全く休憩なく診療を続けたとして、一人の患者さんにかけることのできる時間は3.87分です。
これは、診察時間ではなく、私が一人の患者さんにかけることのできる全体の時間ということになります。患者さんを診察室に呼び入れる前のカルテ確認、発熱外来であれば手袋を装着し、歩いて車まで向かい、戻ってくる時間、カルテを記載する時間、お薬を調剤する時間など全て含めてこの時間です。そのため、実際に診察室で患者さんと向き合うことのできる時間は平均して2分くらいというのが私の感覚です。その中に先にも述べたように処置が必要な方、緊急の紹介が必要な方などがおられ、その場合は一人の方に30分程度を要することがあります。過去にはあまりに多くの患者さんが待っておられる状況で処置が必要な方がおられた場合は一時的に受付を中断したこともありました。
診療所の状況は季節やその日によって異なりますが、基本的にはこのような受診患者数でも診療が維持できるシステムとして、少しでも受診者を多く受け入れる工夫、診療の流れの上で、みんなの診療所の診療は構築されています。
そのため、初回の診察の時点で直ちに診断ができなければ、致命的となるような疾患が隠れていないと思われる場合は、初めての段階で詳細な問診や身体診察は行わない場合もあります。また、検査についても費用や患者さんへの身体的な負担、診療時間や人的資源などを総合的に考慮して、初回から多くの検査を行ったりはしないことも多いと思います。まずは、最も考えられる疾患が2週間以内くらいで治療可能と思われる場合は初回の治療を行い、経過が思わしくない場合は再診していただくという方針が多いのが現実です。
2)発熱外来について
発熱外来は現在は平日は8時から16時30分まで、土日祝日などは、9時から12時までの対応とさせていただいております。元々は診療時間ギリギリまで発熱外来も行っていたのですが、受診者数が徐々に増え、小児科医院の閉院と併せて予防接種を受けにくる方なども増えたため、発熱外来の時間と予防接種を主に行う時間をある程度分けるために、発熱外来の時間を短縮しています。これは安全性の観点からの配慮ですので皆様にはご不便をおかけしますが、ご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。
発熱外来については
前日、もしくは当日に37.5℃以上の発熱を認めた方はお車の中での診察とさせていただいております。これは感染症対策の一環としてさせて頂いている対応です。診療所の中には健康診断や予防接種でいらしている自覚症状のない方やご高齢の方、乳幼児なども多くおられます。そのような方への施設内での感染拡大防止の観点からお車での診察とさせて頂いております。
発熱している方の中にはそのほかの方への感染拡大の恐れのない疾患で発熱しておられる方もいらっしゃいますので、車内での診察の後、必要に応じて診療所内に入っていただき、続きの診察をさせて頂く場合もあります。その必要性があるかについては車内での診察の結果、その時の診療所の混雑状況や曜日により検査センターの営業日かどうか、他院が診療をしているかどうかなど総合的に判断して対応しております。
3)流行性感染症についての基本的な考え方
季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症が流行すると、当診療所は1日50~60名前後の発熱症状の方を受け入れることがあります。その全ての方に、インフルエンザ検査や新型コロナウイルス検査を行うことが難しい状況の時もあるため、以下のような場合は検査を行わない場合があります。
*本人が検査を拒否していが、ご家族や職場、学校などが検査を希望している場合。この場合はご本人が検査に同意していただけることが必要です。
*発熱間もない受診で検査の信頼性が乏しい場合
一部これまでと方針を変更した点もありますので、これについては以下の記事も参照されてください。
*同一施設内や家族内での流行が認められる時
当院で行なっている季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の検査の感度(感染症がある人を正しく陽性と診断できる確率)が70%程度の検査であり、30%程度は見逃してしまう検査です。多くの医療機関で扱っている検査キットも同様です。同一施設や家族内での流行が認められる場合は、この検査キットでの検査陰性は季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症ではないことを示すことにはなりません。陰性と言われることで、見逃されている季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の方が早期に職場や学校に復帰することで、より感染を広めてしまう可能性があるため、状況的に季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の可能性が高い場合は検査をせずに季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症と診断する場合があります。これは冬場など流行がピークに達しているような時期についてはよく行います。
新型コロナウイルスが2類相当という扱いを受けていた時は『みなし陽性』と言われていたものですが、本来は『臨床診断』と言います。診察や問診、周囲の流行状況から診断するというものです。たえとば手足口病などは検査はせず、皮膚や口の中の症状、周囲の流行状況などを考慮して診断します。それと同様に、季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症も診断する場合があります。季節性インフルエンザの場合は周囲での流行があり、発熱、咳を認める場合は約8割が季節性インフルエンザだと言われていますので、検査をして陽性が出る確率とも遜色がないと考えられます。
もちろん、約2割はそのほかの疾患の可能性が残りますが、多くの風邪症状は時間の経過とともに改善することが多いため、周囲への感染拡大を防止するという意味では臨床診断は妥当な方法だと考えています。経過が思わしくなく発熱が継続する場合などは再診して頂き精査する場合もあります。また、季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の後、細菌性の肺炎や中耳炎、副鼻腔炎などを合併する場合もあるため、その際も再診時に評価をさせていただきます。
3)そのほかの原因による発熱について
まずは車内で対応しますが、例えば、虫垂炎(盲腸)、腎盂腎炎(尿に関係する発熱)、蜂窩織炎(皮膚の下の組織の感染症)などの場合もありますので、その場合は診断に応じて検査や治療を行なっていきます。疑っている病名が入院や手術が必要な疾患である場合は、車内診察ののち、そのまま高次医療機関にご紹介させて頂く場合もあります。車内診察である程度診断がつけばそのまま治療を開始する場合もあります。周囲への感染拡大の危険がないと分かれば診療所内で追加の診察、検査が必要な場合は、その必要に応じて診療所内での対応を継続します。
一度、車内対応のみで治療方針を決定させて頂いた場合も
*発熱が5日以上継続するとき
*水分摂取が困難になった時、尿が出なくなった時
*明らかにぐったりしてきた時
*抗菌薬を処方した際は内服後3日経っても改善の兆しがない場合
*そのほか症状が悪くなってきた時
は再度受診するようにお伝えしてから帰宅いただくように心がけております。
4)時間外の対応について
診療時間外については原則として、メールや電話での対応となります。診察券には私が持ち歩いている診療所用携帯電話の番号が記載してありますので、緊急の場合はお電話いただければ、電話がでれる状況の時は対応しております。すぐに電話が取れない場合も折り返しをするように努めております。また、急がないお問い合わせについては診療所websiteからメールでのお問い合わせにも対応しております。必要な際はご検討ください。
5)より皆様に快適に診療所をご利用頂くためのご案内
以前ご案内させて頂いた、診療所ブログの記事をまずは改めてご案内させてください。
こちらにもご案内しておりますが、もしお急ぎで無い場合は
平日の午後早めの時間帯の受診が比較的受診される方の少ない時間帯です。
土日祝日の午前中は最も受診が集中する時間帯です。
また連休明け初日の午前中なども混雑する傾向です。
その場合は、よりお一人にかけることができる時間が短くなる傾向にありますので、ご利用になる皆様にも限りある医療資源として、受診のタイミングなどを工夫していただけるとより皆が快適に診察を受けることができるかもしれません。
6)奄美医療圏の医療の状況について
こちらは、過去にも何回か診療所のweb siteでもご紹介させていただきましたが、鹿児島県の医師確保計画になります。
こちらをご覧いただくと、奄美医療圏は全国的にも医師の偏在の影響を受けて、医師不足の地域であることがわかります。また、この令和2年以降も、個人開業医の閉院や病院勤務の医師の減少などにより奄美医療圏の医師数は減少傾向にあるはずです。このような状況の中での医療の提供となっているため、私たち医療従事者としても、提供したいと思っている十分な量の医療が提供できていないことは否めません。これについては個人や組織の限界として本当に心苦しく思います。もし、奄美にお住まいの皆様が今ご自身が受けていらっしゃる医療に不安があるようでしたら、行政としても対応をしないと改善することが困難な部分もあるかと思います。
今回、診療所のレビューとしてした頂いたこのような声は私個人としてもとても重たく受け止めなければなりません。それは間違いありませんが、このような声を同時に行政にも届けて頂けると、その一つ一つは小さくてもやがて大きな波となって何か変化が起こるかもしれません。
7)まとめ
今回、レビューを頂いた方に対しては、十分な対応ができなかったこと本当に心苦しく思っており、ただただお詫びするばかりです。これから、冬に差し掛かり、もしかすると同様の思いをされる方がまたおられるかもしれないと思うと、今の診療所や奄美の医療の現状、私の診療に対する考えは改めて皆様にお伝えしておかなければならないと考え、今回ブログの記事として発信させて頂きました。
今後も上記のような方針にてみんなの診療所は診療を継続してまいります。今回の出来事の反省を生かし少しでも改善できるところは改善させていきたいと考えておりますが、極めて少ない医療資源の中提供している医療ですので、限界もあるかと思います。
皆様が当院を受診されるか否かの判断をされる際の一つの参考になるかと思い、この記事を作成させて頂きました。このような厳しいご意見をくださる方の声に耳を傾けつつ、また明日からの診療に臨みたいと思います。






