連休中の様子
土日祝日の診療開始時刻である朝9時から来院が多く10時までに25人程の受付になる日が続いています。そのほとんどが発熱や感染症を疑う症状のある方であるため、車内での診察となります。
発熱感染対応の方の待ち時間が3時間に近くなると、診療終了時刻までに、感染症症状以外の方の診察、予防接種の方、電話再診対応とさせて頂いた定期処方の方にも対応するためやむなく感染症対応の受付を早い時間で終了せざるを得ない状況が続いています。それでも1日50-60名の受付に対して40名前後の感染症診察対応をさせて頂いています。すべてのその日の診察が終わる時刻が18時頃となります。14時過ぎにご来院いただき、翌日の受診をお願いするのはとても心苦しいのですが、ご理解、ご協力を頂けましたら幸いです。
また、今まで新型コロナウイルス感染症以外の『いつもの医療』を主に担ってきたみんなの診療所でしたから、あえて新型コロナ診療について触れることはありませんでしたが、せっかく今、感染対応の診察をさせて頂いているので、今更ですが私が思っていることを書かせていただきます。奄美以外の方にとっては新型コロナ対応が始まった初期の頃によく目にしたことばかりかもしれませんが、このブログは地域密着型のものであると考えているので、どうかご容赦ください。
年始以後の感染症診療において気をつけていること
1)気をつける、でも気をつけすぎない
もちろん、新型コロナウイルスに感染しないことが理想的です。
ですが、だからといって誰とも会わずに一人で生きていくわけにもいきません。
潜伏期間が短い、感染力が強いオミクロン株が奄美にも入っているからこそ起こるこの急激な感染の広がりですから、気をつけていても感染してしまうことは避けられない状況であるとも言えます。基本的な感染対策を行うことは大切ですが、感染することを必要以上に不安に思ったり、脅威に思ったりする必要はないと考えています。誰にでも感染するリスクはあるのです。気をつけながら生活していても、感染してしまう時はありのままを受け入れるしかない。今はそういう状況だと思います。
2)やみくもに検査をしない
無症状や軽症も少なくないと言われているオミクロン株ですので、検査を希望される方もとても多いのですが、この連休中は検査を希望される方に対して、検査を行うことができる能力の方が追いつかない状況にあると感じていました。そのため、当院では有症状者の疑い症例のみ検査を行い、無症状者の検査希望者の検査には対応しませんでした。それでも、この3連休は検査キットがいつそこを尽きるかとヒヤヒヤしながら診療をしていました。
感染症対応をする方の中には、感染リスクの高い場所へ出かけたり、会食したりという人との接触がない方、検査陽性者や濃厚接触者との接触歴がなく、問診上は新型コロナウイルス感染のリスクが高くない方も多いです。そのような方でも発熱や風邪症状があり、検査のご希望があればこの時期ですので検査をさせて頂いておりますが、極めて軽い症状で検査のご希望がない方には無理に検査を勧めることは行っておりません。
また、発熱のない風邪症状の小児については、保護者の方の強い希望があれば検査を行う時もありますが、検査を受ける本人が明確な検査拒否の意思表示をしている場合には原則として本人の意思を尊重したい旨を保護者にお伝えして、理解が得られれば検査をせずに対症療法のみとする場合もあります。親子などのご家族で来院される場合は、最も病歴上、陽性に出そうな方が大人の場合は大人の方のみ検査を行い、その検査結果をお子さんに対しても当てはめて今後の対応を考えるように促しています。大人でも苦痛な鼻の奥に綿棒を突っ込まれる検査ですので、お子さんには出来るだけ検査を行う回数を減らしたいと思っています。その分、次項のことにも注意を払っています。
3)陰性をみて安心しない
検査をするにあたって、当院で行っている抗原定性検査の検査の精度としてわかり安く説明するために正確に陽性が診断できる確率は2/3くらいの確率で1/3くらいは本来陽性の患者さんを見逃す検査ですと説明しています。これは今まではインフルエンザの流行期に救急外来で嫌になる程説明してきた説明と同様です。陽性には意味があるけど、陰性にはあまり意味のない検査であると説明すると、検査を希望されない患者さんもおられますのでそのような方に無理に検査をお勧めすることはありません。(問診上陽性が出そうだと思う方にはきちんと検査をお勧めしています)
そのかわり、今の奄美の状況はどこで新型コロナウイルス感染が発生してもおかしくない状況にあるため、ただの風邪だと思ってもいつもより十分長く家でゆっくり過ごすようにお伝えしています。実際に検査をして陰性の方にも同様に、症状が十分収まるまで自宅で療養をしてほしいと私の希望をお伝えしています。
これは検査陽性者やその濃厚接触者は10-14日間行動が制限されるという今の新型コロナウイルス対応の現状や高齢者は重症化しやすいということを考えると、やはり感染が拡大することは極力避けたいという思いからのアドバイスです。
本当はコロナでなくても、具合の悪い時は職場や学校のことは気にせず十分元気になるまでゆっくり休める世の中になれば、自宅待機などという言葉も要らなくなるはずです。ですが、自分の業界を見てもそれができる状況では全然ないので、きっとそのほかの業種も状況は同様なのだと感じます。全然、関係ない話題の唐突な話ですが、今の自分の生活を考えると子供の教育にかかる費用を公費でまかなってくれる世の中になれば、もっとゆったりとした生活が送れるのになと思う時もあります。
4)そのほかの診療も継続する
みんなの診療所は、土日祝日でも『いつもの医療』が受けられることが大切なコンセプトの一つです。ですから、規模を縮小したり、方法を変更したりを余儀なくされていますが、それでも土日祝日診療を『緊急性のある方のみのもの』にはしたくないと思っています。途中で感染症対応の受付を終了とする対応を取らせて頂いているのもそのためです。
限られた医療資源ですから、地域の方全員で仲良く利用して欲しい。そう思ってこの3連休も過ごしました。
これからもしばらくはこの状況が継続すると思われますので、状況が変化する様子を私の気力が体力が続く限り、診療所の目線でお伝えできればと思います。
地域全体でこの状況にうまく対応していけることを祈っています。